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2017-02-20

自転車暴走集団の男子生徒8名死亡、8名重軽傷

マレーシアには、日本の暴走族にあたいするマットレンピ(Mat Rempit)という暴走集団がいます。また、改造自転車で、夜中に徘徊する違法・暴走自転車レースに参加する小中高生たちが、10年ほど前から増加の傾向にあります。

以下は、この暴走自転車集団をまきこんだジョホールバルでおこった事故のニュース、被害者家族への警察、教育庁、学校の対応に関すること。自転車改造の危険度と事故後の世評、また、死傷者と共に暴走レースに参加していた少年たち反応の記事をまとめています。

ジョホールバル自転車暴走集団の悲惨な追突事故

[ジョホールバル] 2月18日深夜過ぎの3時30分頃、ジョホールバル市街地環状線道路沿いのマレー墓地際を、自転車で徘徊していた集団に車が追突。8人が死亡、2人が重篤状態、6人が負傷という無残な事故が発生。

[写真引用: New Straits Times]

ジョホール州警察の報告によると、16名の死傷者は、13歳~17歳の男子生徒たちで、改造自転車でジョホールを徘徊する約40名の大規模な「ジョイ・ライディング」グループのメンバーであったとのこと。
ジョイライディング[Joy Riding]とは、違法的で危険な無謀・乱暴運転のこと
警察では、今年、すでに5回に渡って同じようなグループの検挙を行っているものの、近づけば逃亡の繰り返しで、17台の自転車を差し押さえたのみ。今回の事故現場からは、約20台の改造自転車を回収したことを発表。

自転車集団に突進した乗用車を運転していた22歳の女性によると、テーィンエージャー達は、暗い道路の真ん中にいたとのこと。

運転手は、事故時、アルコールまたは薬物の影響下にはなかったと判断されたものの、更なる捜査のために拘束されている。

ジョホール州スルタンが病院で犠牲者家族に言葉

ジョホール州スルタン・イブラヒム・スルタン・イスカンダルは、事故当日にスルタナ・アミナ病院に向かい、犠牲者の家族と面会。家族に向け、涙ながらに子供の居場所を監視し、特に夜間には外出させないようにと言葉を尽くして説得。
子供のことで、私たちが(後悔して)泣かなければならない状況に陥ないよう、子供に(我慢してもらって)泣いてもらうようにしなければいけません。私自身も息子をなくしました。息子はもう戻ってきません。あなた達の気持ちはよく解ります。」と伝えた。
スルタンの6名の子女の中、4番目であった トンク・アブドル・ジャリル・スルタン・イブラヒム殿下は、肝臓癌の闘病生活後、2015年12月、25歳で他界。

警察と教育庁の今後の対応

この致命的な自転車事故に対応して、ジョホール州教育庁からは、グループ生存者からサイクリンググループについての情報収集を行うことを発表。

教育庁所長によると、このようなグループ存在の認識はあったものの、参加者数であったり、参加理由等については何の情報もなかったとのこと。
「彼らは通常10人以上のグループで行動しています。私たちは、これから、彼らに直接会って、夜間の危険で無謀な自転車遊びに参加する習慣を放棄するようアドバイスしたい。」と葬儀場外で記者団に伝えた。
死亡者の一人、Mohd Azhar(16歳)の兄、Mohd Khairul Nizam Amir(25歳)は、夜中に自転車で外出していた弟について次のように語った。
「長男として、弟には、夜中に自転車で外出しないよう注意していましたが、家族が就寝中に外出していたため、常々小言をいうことにうんざりもしていました。」
それぞれの子供達の通っていた学校には、事故にあった子息の家族へ対してのカウンセリング、学校内での自転車走行に関する安全指導、そして、改造バイク収集に努めることを教育庁より指導。

事故にあった被害者家族には学校保険より慰謝料の支払いが行われることも発表。

自転車の改造を自分たちで行っていた少年達

自転車販売店によると、この2年間で、ブレーキやギアを取り除く自転車改造の傾向が高まってきているとの事。

改造費用は、通常、中古部品の購入で、RM500(12,000~15,000円)ほど。
名前、店名匿名希望の店主によると、「安全上の懸念から、我々がブレーキを取り外すなどの改造はやらないため、本人たちが必要なパーツを買って、自分たちで改造していた。」
また、この少年たちが、ハンドルやスポーツリム、タイヤなどの部品にアクセサリーを購入することを拒否したり、改造自体をやめさせることは出来なかったと語った。

ジョホールバルの10代のジョイライダーに人気のある改造された自転車


別の自転車販売店店員は、土曜日の事故で死亡した十代の少年たちの中の二人が、ジャラン・テブラオ店舗の常連であったことを語った。
「彼らは、通常、金曜、土曜日の夜、この店の周りに集まり始め、ダタラン・バンダラヤ(Dataran Bandaraya)へ向かう友人たちと待ち合わせていたが、事故以来、誰も現れていない。」と話した。
また、彼女も、店側で自転車を改造したことはなく、二重フォークやハンドルバー等の部品を販売しただけだと付け加えた。

Chee Hong と名乗った別販売店の店主は、若いライダー達に、ブレーキを取り外すなど危険きまわりないと何度も警告したが、全く効果はなかったという。

Chee Hong氏によると、安全規格外の、整備修理士が絶対に行うべきでない改造だったため、本人たちが自分で改造していたとのこと。
「ブレーキを取り外して、ハンドルとともに車体を下げることで、自転車がより速くなる」と語った。
「私の店に来る10代の若者達は、タマン・パンダン、テブラオ、マサイからで、彼らが悲劇に巻き込まれた十代の少年たちと同じグループなのかどうかはわからない。」と加えた。

無残な事故のあとの少年たち、残された親

交通事故死の息子たちをもつ親への世間の風当たりはかなり厳しいものがあります。
数人の親御さんのインタビュー記事によると、家族そろって悲しみに打ちひしがれている状況で、フェースブックなどでの酷評をみるのは非常につらい。
息子は手伝いをよくやってくれていた非常に優しい子で、夜にでかける事は気になっていたけれど、友人たちとのクラブ参加ということで許可をしていた。
出かける際は、近所で友人たちと集まるということだったので、まさか、そんなに遠くまでいってるとは思いもしなかった。

暴走レースメンバーだった少年たち

これまで、この真夜中過ぎに開催されていた集会や暴走レースに参加していた少年達にとっても、非常に大きなショックを与えたこの事故。

現在、重態で入院中のモハメド(16歳)の親友モハメド・アイマン(16)は、自転車集会で会って以来、2年以上となる友人の、現在の状態に未だにショックを受けているとのこと。
彼らは、週末の深夜過ぎに、タマン・メルデカ(Taman Merdeka)とダタラン・バンダラヤ(Dataran Bandaraya)で開催されるレースに、頻繁に参加していたとのこと。

また、自転車レースにおいて、現金での賭けは珍しくなく、最も高いベット(掛金)はRM5(120~150円)であると付け加え、両親とともに、見舞いに訪れた病院で、次のように心境を述べた。
「両親から、このレース活動に関与しないように注意されていましたが、まったく聞く耳をもちませんでした。しかし、友人が集中治療室にいる今、どれだけ危険であるかを自覚し、活動を辞めるべきであることに気がつきました。」
負傷した少年の1人、アブドゥル・サマド(16)は、致命的な事故の後、深夜の自転車レースを辞める決断をしたことを次のように伝えた。
「私は自転車の改造そのものに興味があり、これまでは、ストリートレースには参加せず、カンポン・マラユ・パンダン(Kampung Melayu Pandan)でのレースを見ているだけでした。今回、初めて、レースに参加して事故にあいました。母には、これからは、心配で泣かせるような事は決してないと約束しました。」
[2月18-20日 New Straits Times, The Star Online | 翻訳/要約:Tropicallife]

マレーシアでの子育てを通しておもうこと

悲惨な事故です。

このような危険行為を取り締まる機関の、関心度の低さに指導力の無さ、そして、子供達の改造バイクをみて危険性を察知できない親。

責任は、学校でも警察でもなく、やはり親にかかってくるもの。

ここで生活を始めて以来、子供達が育つにつれて、どうしても現地の家庭教育というか、家庭内での躾や社会性の意識に関する基本が、非常に違うことを実感しながら生活してきました。

こちらが飛び上がるほどの勢いで子供達を叱責するかと思うも、なぜか、肝心なところでは、子供のやりたい放題だったりしつけ放棄状態で、目も手も行き届いていないような部分。

こんな部分は、親自身がどうやって育ってきたかで、気づく、気づかないの違いもあるので、もちろん、「正しい子育て」は、一つではないとは思うものの…

男の子であれば、すでに、12~3歳ぐらいから友人たちと連れ立って外出するのもよしながら、やはり、スルタンのお言葉通り、子供に(我慢してもらって)泣いてもらうぐらいの覚悟で、しっかりと行動範囲を把握する必要があるのではないかと、改めておもいました。

逆に、非常に子供達の行動に制限をつけ、もちろん送迎も親が行うという家庭も多くあり、私にとっては、その中間あたりがないのかと、模索しながらの子育てではありましたが。

すべての家庭で、子供第一であることには間違いありません。ただ、それぞれに、子供の主張と安全性や社会性のバランスをとるのが難しい時代なのかなとも思うこのごろです。

親御さんたちの悲しみ、心中お察しいたします。

そして、実は、けっこう気のいい子供達ではなかったのかと思える亡くなった少年たち、あまりにも若すぎて言葉もありません。どうか、安らかにお眠りください。

また、気になるのは、運転していた22歳の女性。

この自転車暴走集団の事故がおこったことで、この危険な行為がいかに野ざらしになっていたのか、明らかになってきました。

軽度な事故は頻繁におこっていた

不注意という落ち度は確かにあるのだけれど、これまでの自転車暴走族をみていた私たちは、何らかの事故がいつかは起こるであろうと思っていたのも事実。

この数年間で、暴走してくる自転車にぶつかってこられたものの、怪我をさせたということで病院へ運び、大事にいたらず安心。その後、両親より、慰謝料を請求されたなんて話があるのも事実です。

しかし、そのような事故にあった(おこしたというよりも)運転手達が、警察届けをだしていたことで、運転手に慰謝料を請求する家族に対し、警察から、何度も同じような事故をおこしているとして請求却下となった例もあるようです。

今回の女性運転手にとって、通常運転する場所や時間帯でなかったのではないかと思うのですが、このような惨事をひきおこすこととなり、かなりのショック状態が続くのではないかと。

なんとか立ち直っていただきたい。

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