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2014-02-14

ヌサジャヤ地区の魚が大量死―土地開発でおもうこと【2014年】

開発による赤土汚染か異常高温と乾燥によるものなのか。土地開発のすすむヌサジャヤ地帯、シンガポールのチャンギ地帯の養魚場主、漁師が、魚の大量死で被害を受けています。

ジョホールバルの土地開発で悪影響を受けているひとびと。

ヌサジャヤ地区の魚が大量死
写真:The Star Online

土地開発による赤土汚染?異常気象によるものか?

ジョホール海峡沿い、ヌサジャヤ地帯のタンジュンクパン(Tanjung Kupang)地域で、漁業を営む養魚場や漁師が、魚の大量死で大きな被害を受けています。

マレーシアとシンガポールを結ぶセカンドリンク近くのカンポンペダス(Kampung Pendas)で養魚漁業を営むリー氏によると、この地区で魚の大量死が起こったのは初めて。彼の養魚場では、この三日間で90%以上の魚に稚魚が死んだため、RM150,000以上の損失を被ったとのこと。

残っている魚を救出することは出来るものの、これらの魚が食用として安全であるかどうかの確認が必要であると語っています。

現在、10箇所の養魚場と250人ほどの漁師達がこの影響を受けており、これらの漁師によると、海水が茶色となる汚染に気づいたのは、土地開発がはじまって1ヶ月ほどしてからであるとのこと。

シンガポールでは異常高温と乾燥による酸欠死か?

シンガポールの北東地区チャンギとウビン島でも、魚の大量死が発生。報告を受けたシンガポール政府は、この被害を受けた魚漁業者の援助に全力を尽くすと伝えています。

農水産物家畜庁(Agri-Food and Veterinary Authority - AVA)は、養魚漁業者と密接に協力調査。その結果、状況は深刻であるとのこと。

多くの養魚漁業では、ハタ(grouper)、コノシロ(threadfin)、ゴールデンシマアジ(golden trevally)などが影響を受けており、この異常高温による酸欠とおもわれる海水の正常化を助けるために空気混入システムの導入、また、死んだ魚の処分のために多くの労働者を送っています。

ダンガベイ、スクダイ通りのリドビーチでの魚の大量死

今回のニュースの魚の大量死は、確かに、この異常気象による酸欠が理由なのかもしれません。

しかし、去年6月にも、開発のすすんでいる街中ダンガベイ側、魚村があり魚釣りの人たちが多い、リドビーチでの魚の大量死がすでに報告されています。

そのときの記事では、ダンガベイ沿いの開発がはじまって以来の2年間、水が汚染され、死んだ魚をみることが多くなった事を、この水域で魚釣りをする人たちによって伝えられていました。

去年までのダンガベイ沿いをご存知の方は、魚を釣っている人たち、貝をとっている人たち、そして、夕方には、それらを売っている人たちをみかけられたことがあるのでは?

この環境の変化によって、ここで魚や貝を売っていた人たちは、毎日120RM以上の収入が途絶えたようです。

この事例も、その理由等は公開されていません。
こういった魚の大量死は、ヨーロッパ、アメリカをはじめ、日本、中国、東南アジアと世界各地でおこっています。

また、ジョホールでも1990年代におこっていますが、それは、汚染物質流出によるものでした。

こういった魚の大量死の原因としては、

  • 異常気象によるもの、また、
  • 汚染物質によるもの、
  • 開発による赤土汚染であるものなのか、
原因が判明するまで時間がかかったり、また、なかなかわからないのか、あえて報せたくない事であるのか。

今回のこの魚の大量死、異常乾燥と気温上昇による水中での酸欠があるのかもしれませんが、日本で赤土汚染が問題となった沖縄の開発地区を思い出すニュースでした。

赤土汚染(Red Soil Pollution)について

赤土汚染とは、陸の赤土が川や海へ流れ出し、水環境を汚染するなどの悪影響を与えること。降雨などの自然的な要因に加えて、農地開発や土地改良事業などにより裸地状態にするなど人的な要因も大きい。当初、沖縄県で最も多い「国頭マージ」という土壌による被害が多く、流出水が赤色であることからこう呼ばれた。沖縄の島々では、流出した赤土がサンゴに降り積もってサンゴ礁を死滅させたり、海の生態系を破壊したりして、周辺の漁業に甚大な影響を与えている。(環境Gooより
特に開発においての赤土汚染については、その開発事業者の責任を明確にし、赤土の流出防止の努力義務を課したり、また、その流出防止策もすでに出来上がっているとのこと。

赤土汚染についてのサイト
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土地開発と住環境の変化をみておもうこと - 2014年

都市の開発というのは決して悪いことではないと思います。

街並みがきれいになり、交通機関が整備されていくのは、住む人たちにとって便利で、衛生面の向上も期待でき、生活そのものも安全で快適になると思います。

しかも、マレーシアは、きれいな海に囲まれ、熱帯雨林ならではの自然と生き物の共存を満喫できる高原、密林リゾートやビーチリゾート等の観光地も多く、東南アジアの中でも、常夏のマレーシアとして非常に恵まれています。

こういった観光地へのアクセスも、より安全で快適になるのではないでしょうか。

また、いくつかの人種や文化から成り立っているのが特徴的なこの国では、食べ物のみならず、多言語文化に、それぞれの歴史も非常に興味深いものがあり、自然の豊かさとともに、都市部での観光も大いに楽しめます。

きれいで安全な場所、これは、住人だけでなく観光客にも喜ばしいことです。

しかし、

ここ数年間の開発でみられるのは、新しい高層ビルの近くに、そのまま残された無人ビル、廃墟家屋、汚水やごみにうもれた裏通り。

新しい高速道路上にはすでに欠けた穴ぼこがあったり、歩道の整備は未だに後回しと危険な状態のまま。そして街中で増え続ける浸水道路。

これまで緑だったところは、どんどんとほりおこされて赤土に。

自然の宝庫であった密林ジャングルから、コンクリートジャングルへとの変化がみられるジョホール州。

去年からのデング熱感染の急増、洪水多発に異常気象。

これが、開発によるものだなんていうのは短絡的すぎますが、この熱帯雨林地帯で、いったいどこまで密林を減らして、コンクリートで埋め立てることたできるのか不思議に思うこのごろです。

マレーシアで、新種のデング熱ウィルスが発見されたのは、これまで人がはいりこまなかった熱帯雨林地域に踏み込み、自然の領域をどんどんと侵している事もあるのではないでしょうか。

開発には賛成です。

ただ、もう少し、自然と調和がとれてオランウタンに象や虎がすぐ近くのジャングルに住んでいるような(いや、それは危なすぎますが)街づくりってできないものなのでしょうか。

開発に伴う赤土被害にしても、これまでの他国での例から、赤土流水防止対策などは、すでにたててあり、こんな不安なんてなんでもなかったんだと、10年後にはきれいで安全な街中でゆっくりと暮らせていることを願っています。

魚の損害で気になる市場の値段

去年は、中国、ベトナム、タイに引き続いてのえび養殖場でのウィルス感染で、ジョホール州のいくつかの養殖池でえびが全滅するといった被害がありました。

メラッカでは、この感染を防ぐために、新しく開発されたワクチンを利用するとのことだったのですが、どうなったのでしょう。

この被害以降、パサマラム(路上マーケットやウェットマーケット)では、1kgが15~20リンギほどで購入できていた大きなブラックタイガーが、倍以上の金額となりました。

ここジョホールでは、わりと新鮮な魚を食べることができ、マーケットでのシマアジにモンゴルイカなんかはお刺身にできるほど新鮮なものもあります。(本当は卵と同じで生で食べないほうがいいのかもしれませんが、生卵と同じく、つい)

肉類よりも魚介類の方が好きな私としては、まったく残念なニュースであり、また、健康のためにも、この異常気象、いい加減おさまってくれるといいのですが。

環境がどうのこうのと騒ぎながらも、結局、気になっているのは我が家の食卓事情。

また、この異常気象で、水道局からは、ダムの貯水量への不安を伝えています。

そして、乾燥にともなう山火事(か、燃やしている)の発生によるヘイズ煙害への不安感もマレーシア、シンガポールで増してきています。

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