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2018-05-11

GE14 マレーシアの総選挙フィーバー その2!独立以来の政権交代劇で世界初92歳の首相誕生!

マレーシアの総選挙 G14、おどろきの結果がでました。1957年の独立以来、マレーシアの政権を保持してきたBarisan Nasional (UMNO)が、61年目で初の撤退。

ナジブ撤退劇の立役者、ドクターマハティア氏が野党として候補になるまで、また、選挙結果イメージをふくめ、2018年、GE14総選挙の流れに、汚職疑惑とまとめています。

今回の選挙のみどころは、なんといっても、22年間の首相就任期間、本人が育てたともいえるUMNOで、ナジブ氏の師匠のような存在であったドクターマハティア氏の、新政権への指標と、野党としての支持率確保手段。

本人の過去の失敗点を認め、古巣のUMNOをとびだしての出馬となったG14!

過ちをおかした(かもしれない)弟子を、自ら成敗すべく選挙にのりだした大御所といったイメージでした。

しかし、年齢的なこと、また、マハティア氏自身の敵対関係などから、結果がでるまで、まったく予想のつかない選挙でした。

そして、国民が選んだのは、「お金をばらまきます!」ではなく、「古きよき時代、そして、民族のハーモニーをとりもどす!」。

マレーシア、今、世界を揺るがしています!

アンワー氏Xマハティア氏、ナジブ氏Xアンワー氏の歴史、そして、ナジブX(マハティア+アンワー)の今


写真は、この選挙期間は獄中であったものの、6月には出所するといわれているアンワー氏とドクターマハティア氏の新たな連帯政権イメージです。

現在92歳のマハティア氏は、2年間で退任するという条件での出馬。党内では、アンワー氏が引き継ぐものとして、すでにもりあがっています。

マハティア氏が電気ショック効果を与えてくれた!

BBCニュース記事で伝えていたように、マハティア氏の出馬は、まさに、人々への「エレクトリファイ」役となりました。
The comeback of Mr Mahathir has electrified an election contest. (BBC) - マハティア氏の復帰が、選挙戦に多大な影響を与えている
2013年、汚職疑惑のあるナジブ氏撤退をめぐって行われた総選挙は、かなりの盛り上がりでした。投票数ではナジブ氏をうわまったアンワー氏だったものの、政権はUMNOのまま。

アンワー氏不在の今回の選挙結果は、マハティア氏なしでは、決して起こらなかったのでは?

「2013年と2018年の投票結果イメージ - Wikiより


今回の投票結果には、各国から驚き、かつ、ポジティブな反応がでています。イギリスのBBCにガーディアンの記事をはじめ、各記事より、マレーシアが野党を選んだ理由をまとめてみました。

マレーシアが野党を選んだ理由

投票率は76%で、2013年の選挙の85%よりも低かったものの、野党は、ペナン、セランゴール、クアラルンプールにメラッカのみでなく、従来、BNの拠点で、今回もBN勢力が強いと予想されていたジョホール州などで大きく差をつけての勝利。

GE 2018総選挙結果 <ge14says.com>



6割を占めるマレー民族の中から、61年間の主力政党撤退を目指して、野党に投票するという「マレー津波」のおこったこと自体がまさに奇跡。

この結果から、国民は、「1MDB:世界最大の財務スキャンダルの汚職事件」、その後の補充かと思われがちな物価、消費税上昇と続く中、大きな変革を求めていたことがわかります。

投票結果公表の大幅なおくれは、暴動の誘導のためだったのか?

通常午後11時に公表される予定の公式結果は、午前3時ごろまで未発表。

この発表のおくれ、また、投票所にて偽の投票箱があると判断した集団によって、小規模ながら、暴動も発生。


これを受けて、ナジブ氏が緊急戒厳令をだし、選挙そのものを無効にする可能性があると予想した人々から、ソーシャルネットワークを利用して、決して外にでないこと。暴動をおこさないこと、というメッセージが流れていました。

そして、5月10日早朝に勝利を祝ったのはマハティア氏。

ナジブ氏からは、連合野党としてのマハティア氏の勝利が、直接、首相の座獲得へと結びついてよいのか?というコメントがでていました。

マハティア氏が野党指導者として選出されるまで

1981年に初めてUMNOに加入したマハティア氏は、22年間の首相就任後、2009年のナジブ氏、首相就任において、非常に重要な役割を果たす。

ナジブ氏の1MDBスキャンダル発覚後、野党連合に転向

2015年、汚職疑惑があるものの、首相の立場を守ろうとする与党に反発。同じくスキャンダルに立ち向かったことで、ナジブ氏に更迭された副首相とともに、新たな政党を設立。

今回の選挙当初は、またナジブ氏の勝利であろうと予測されていたものの、選挙運動の中、汚職問題、物価上昇問題、そして、マレーシアを中国に売り払っているという問題を指摘することで、国民の関心をひくことに成功。

アンワー氏との協力体制

マハティア氏をメントーと仰ぎ、次の後継者と予定されていたアンワー氏とマハティア氏が決裂したのは1999年。

アンワー氏が、同性愛問題で、初めて投獄されたのは、マハティア政権の下。その後、ナジブ氏によって投獄されたアンワー氏と、新たに団結することで、野党勢力を拡大。

マハティア氏の国王への請願で、牢獄のアンワー氏が恩赦を受けることが出来れば、6月には出獄できると予測されており、2年で任期を終える予定のマハティア氏の後継者になると伝えられている。

マハティア氏とアンワー氏の所属する党名、Pakacan Harapanは、「Alliance of Hope - 希望の同盟」という意味。信用できるアライアンスを探すことが、希望を失わないために重要なのは、マレーシアだけではなく、どこでも同じでしょうか。
[5月10日 BBC, The Guardian | 要訳:TropicalLife]

GE14総選挙で外国人の私が予想していたのは現状維持

この総選挙の盛り上がりはすごかったものの、もっと熱のあったGE13と比べると、なんだかトピックがちがうような、また、以下のような状況をみながら、う~ん、やはり保守派が多いだろうと思って見守っていました。

2013年度総選挙時の投票結果

ナジブ氏の選挙公約がけっこうすごかった!

  • 中国系マレーシア人のビジネス設立支援の約束
  • インド系学生への奨学金件数の増加の約束<ん?奨学金は国民としてではなく、レースで違っていることを認めているのね、ここで>
などに加えて、選挙のはじまる10時間前までにおこなっていた演説のなかの公約
  • 東南アジア第3位の経済を保ち、豊富な資源を配分して<ん?じゃ、これまでのその豊富な資源はどこいってたのよ?>所得税免税を直ちに実施!(26歳以下若者対象)<ん?必要だったんじゃないの?>
  • また、昨年税金を納めた人には払い戻しをする!
  • ラマダン準備用に5月14日、15日を祝日にする!<お休み好きの国民にこれは!!!と思った事項>
  • ナジブがかったら、ハリラヤ期間の5日間は高速道路を無料にする!
なんか、必死...ではあるものの、いくとこいくとこ、ものすごい盛り上がりだったことから、マレーシア人にお休み、無料に免税を約束したか~、と思っていたら...


みなさん、もしかしたら、この顔をみるのもこれが最後だ~!とばかりに、大喝采を送っていたのでしょうか。

また、
  • 新しく施行されたフェイクニュース法(偽ニュース)といい、<これを、DrMご本人や他政党へも使おうとした>
  • 戒厳令・暴動時隊員発動権限
  • 財務長官兼任、<首相やって、財務をあつかって...>
  • マルチメディアコリドーに、<ここを抑え、都合のわるいニュースや記事を発表した人たちを監獄へいれる気まんまん...パロディのひとつとして、ナジブ夫妻の姿を社会風刺的イラストを描いた人たちが何度逮捕されたことか...報道の自由もなんもあったもんじゃない状態>
  • 政府系事業メンバーのトップに座り込んだりと、<大手政府系企業のシェアホルダーとして、断トツトップ>
ほぼ、独裁ではないかとおもえたほどのナジブ氏。<ギラッギラッ、アンワー氏の奥様からタイトルを無視され名前だけを呼ばれたとおかんむりになったり、実の娘からまで人殺し!私の弟まで殺さないでください、と声明文をだされたほどの奥様がいることも関係しているのかしていないのか>

これから、1MDB問題潜水艦問題(モデル通訳殺人事件につながった問題)マレーシア航空行方不明をはじめ、さまざまな事件、汚職問題などなどなどなどで、じっくりとあぶりだされてください。


そして、ジョホールバル人として、なんだかびみょうだったジョホール州騒動...他州の人たちから、ジョホールはナジブに寝返った...なんてコメントがあふれているのを、いったい何事かと、夜も眠れぬほど考え込んでいました。(いや、それはない)

ジョホール州スルタンとナジブ面談、そして、スルタンのDr M非難

ジョホール州のスルタンといえば、5年の任期をもつ国王よりも、かなりはっきりと意見をいわれることで有名です。

今回の選挙とジョホール州の動きがなぜ気になるのか!の前に、マレーシアの国王、スルタンの位置についてまとめてみます。

マレーシアの国王とスルタンの位置関係
マレーシアは、国王が政治・行政・法廷の上に位置する連邦立憲君主国家。スルタン不在の州のメントリバザー(州長・議長)任命権も国王にあります。(首相が推薦)

各州の自治体で州法を決定できるなど、アメリカのような連邦政府+王族といった、けっこう、入り乱れた国家体制となっています。

ただ、実際には、国王、スルタンは政治介入をしないといった取り決めができているため、2年ほど前から、ジョホール州スルタンからは、スルタン家も以前のように政治介入出来るように改正すべき!なんて意見もでています。

また、行政機関のあるプトラジャヤなど、いわゆる内閣の直接管理化にあるフェデラルテリトリーには、ラブアン島などが含まれ、高機能機関が集まってはいるものの、範囲としてはマレーシア全体に比べると狭いもの。

そのフェデラルテリトリーを拡大しようと、ランカウイ、ペナン、メラッカ、東マレーシアなどのスルタン不在の州に加えて、なんと、ジョホール州であるティオマン島にまで、フェデラルテリトリーへの参加をすすめる政府に対して、ジョホール州のスルタンは、非常におかんむりで、かなりの暴言を使われていました。

ジョホール州は、唯一のスルタンアーミー保持州
そして、何より...ジョホール州には、唯一のスルタンアーミーが存在します。

しかも、ジョホール州スルタン軍隊(JMF)は、ジョホール王国民の安全と王を守る目的で、1886年に設立されたという、マレーシアで最古の軍隊

シンガポールでの国王の誕生パレードに、ジョホール軍隊を引き連れて参加のジョホール軍隊将軍のスルタン

ジョホール州ってなんだか違うのは、こんなことが土台になっているから
スルタン及び自治体の権限は、それぞれの州で違いがあるようですが、従来のマレーシアの国家体制がわかると、なるほど、だから、ジョホール州のスルタンには、いろんな決定権があるのかと納得できます。

今回、総選挙前に、ナジブ氏の訪問をうけ、突如、2015年に非難していたナジブ応援説どころか、マハティア氏批判がでてきたと思いきや...
  • プリンス、TMJのテブラオジャスコでのおおぶるまい
    • 店内にいた買い物客に、一人3000リンギのグロッセリー費用を払います!なんてことで、お店はケオス状態に。<お店の片付け大変だったと思います。>
  • そして、数日後には、他店舗に、若殿があらわれるぞ!なんてデマがひろがり、
    • 人々が殺到したことから、
このような混乱をさけるために、フェークニュース法が必要!と急遽、新たな法ができてしまったり。

いったい、ジョホール人は、スルタンのお言葉をきくのか、(ジョホールは、もともと保守的でBNが強いところ)それとも、自分のガッツに従うのかと、結構どきどき、かつ、もしかして、ジョホール州、独立するのかしら?と、想像に妄想がいきかう数週間でした。

私の予想(想像)では、何らかの約束事(ジョホール州スルタンには、政治に関する決定権を与える...とか)をとりつけたナジブ撤退なんてことになったら、ジョホール州は独立するのかも...どきどきわくわく...なんてシナリオが出来上がっていたのですが。

今回、非難的だったマハティア氏の勝利に関して、ただちに首相任命、新政党を発足すべき!と、おだやかに受け入れるという、なんだか、残って政権をとるか!独立するか!なんて緊迫感なしのおだやかな反応でした。(ひとり苦笑)

そして、ようやく、待ちに待ったナジブ氏退散劇となり、やっぱり気になる2013年前後からの出来事。

マレーシアは「ゲーム・オブ・スローンズ」の時代となるのか?

結構、つながっています。2013年、2015年の時点から。(もっと前からだけど)

まず、期待できるのは、
  • 2015年、ナジブ政権に反発したことで、辞任となった5人の政治界重要人物に、裁判官など、この人たちが、新たな政権のもと復活する可能性。

そして、その5人の中には、2015年7月の内閣改正でほされた副首相、Tan Sri Dato' Dr Haji Muhyiddin bin Haji Mohd. Yassin氏も含まれます。

このムヒディン氏、ジョホール出身。この総選挙結果判明後、すぐにジョホール州スルタンにアポイントをとり、メントリバザーの席について相談することに。(州議会の州長)

2015年、UMNOをとびだしたムヒディン氏は、マハティア氏とともに「PPBM」を設立。

いざ!仇討ちならずとも、副首相として遣り残したことを、めいっぱい行ってください。

政権交代できたからこそ可能な「真実の追究」と実のある事業づくり

政権が交代しないことには、決しておこりえない―国民のしりたい真実をあばく―ことが、課題のひとつ。

これをおさえないことには、
  • どうして、政府系事業の資金が、ちゃんと事業達成にに使われないのか、どこに立ち消えになっちゃうのか...
  • 海外の投資家が、マレーシアから引き上げたり、近寄らなかったりする理由のひとつとして、マレーシアの事業は、政府機関と一体化しすぎているため、というものがあります
    • 政府系事業を請け負う業者の例をとると、なんせ、請負契約書で事業用ローンが可能になるものの、それを、新車や家の建て替えに使っちゃったりなど、長期的事業運営や支払金などと計画的に利用しない事業主がおどろくほど多いなど
いろいろなことを立ち消えにさせないためにも、避けて通れない問題ながら、マハティア氏、すでに、方向性を提案されていて、これ、とっても納得できるシンプルな案なのです。

1MDB汚職事件の対応「もう、ずばりいっちゃおう!」

  • 新しいマレーシア政府は、国家投資基金1MDBの汚職事件に関与していると非難されているナジブ氏に報復を求めるものではない
  • 法の支配を取り戻そうとしている、と語った。
  • また、法律に違反したことが判明した人は起訴される、と付け加えた。
というのは、この一連の疑惑調査は、アメリカのみでなく、スイス、シンガポールなど、いくつかの国で行われているもの。
  • 米国の調査では、ナジブ氏の銀行口座に送られた7億ドルを含み、2009年から2014年の間、ナジブ氏の関連会社による資金から、少なくとも45億ドルが盗まれたと伝えている。
    • この違法行為を否定したナジブ氏は、異議申し立てを締結。
<Financial Timesより 要訳: TropicalLife>


結局のところ、マレーシアで、じたばた大きな動きをしなくても、これまで、隠蔽のため、様々な手段を使って法をつくり、孤城壁をつくってきたナジブ氏の「法の支配権」さへ手にいれれば、あとは、法が処分してくれるでしょう、ってことなのでしょう。

単純なところからいうと、マレーシア人は、居住地以外の外国で銀国口座をもつことは違法です。すでに、これに違反しているんですね、元首相。(どこの国だってそうだよ、って?あはは)

そして、実は...

この資金は、もともとマレーシア国民のものではない、他からきたものだ、だから、マレーシア人が、ナジブがお金を盗んだというのは間違っている、という説があるのです。

そして、これは、かなり納得できる有力説。

しかしながら、その「どこかからきた資金」をきれいにするために、1MDBをつくり、マネーロンダリングで様々な国に資金を不正流用したのなら、もう、それは、国際的な大犯罪。

なんせ、ハリウッド映画もなにも、マーティン・スコセッシ監督にディカプリオまで巻きこんだマレーシアの世界的不正流通事件。

もう、年貢のおさめどきでしょう。
そして、ナジブ政権によって設定されたさまざまな法律の中、
  • フェークニュース法
  • 国家安全保障法(軍隊、特別警察発動権限がナジブ氏に)
  • インターネット規制法
などなど、海外にも驚かれるほどの法律の壁で本人の身をかためていたナジブ氏ですが、これらを、取り消すこととなるのか...


結構なドラマがいっぱいの、見逃せない2018年となりそうです。

またまた、マハティア氏、ムヒディン氏の、私の中でのイメージは、こんなんなってます~。(おねえちゃんたちのイメージじゃなくって...「...残された時間を、どのように生きていくか。ひとかけの美しいおもいでを...」って感じのところです)



2015年ごろの、今につながる記事、また、総選挙その1も、よかったらごらんください。

ちなみに、10日、11日は学校休日となっています。(笑)

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